• テキストサイズ

【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜

第3章 人でなし




__コンコン、


「そよ香さん、食べ終わりましたか?」



ドアを開けると布団が盛り上がっている。

規則正しく上下を繰り返し、

その中でそよ香は眠っていた。



「…まるで眠り姫だな」



ベッドに腰掛け、そよ香のおでこに手を当てる。

薬が効いてきたのか

熱は下がり、顔色も良く見える。




「君だったのか…マデイラ」



顔にかかった髪を指でそっとはらう。

白い素肌に薄桃色の頬。

寝顔は何も知らない純粋な少女のようだ。




(…日本の女は幼すぎて見えるな)





昨日から今日にかけて

沖矢は田中から拝借したスマホを解析していた。



スマホの中には何もデータは残っていなかったが、

メールを何件か受信した形跡があった。

既読後30分で自動的に消去される仕組みになっていて、

さらに送信元を探られないように

海外のプロバイダをいくつも経由しているようだった。



なんとかメールの内容を復元できないか

隣に住む阿笠に依頼したところ

直近の1通だけ復元することができた。



「マデイラを捕まえろ」

その文章とともに、添付ファイルが1つ。


そこには確かに、

沖矢が連れ帰ったそよ香の写真があった。




/ 272ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp