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【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜

第3章 人でなし




沖矢が上半身を起こしてくれたおかげで

部屋の中がよく見渡せるようになった。



窓から入る日差しはだいぶ傾いているように見えた。

繊細な刺繍がしてあるレースカーテンの向こうには

手入れの行き届いた低木や草花が美しく並んでいる。



(すごく広いお庭…)



部屋の中に視線を戻すと、

そよ香が寝ているシングルベッド、

窓ぎわにはシンプルな作りのカウンターテーブルに

本がぎっしりつまった大きな本棚。

先ほどまで沖矢が座っていたソファ、小さなサイドテーブル。


こじんまりとした部屋だが、

一つ一つの家具がヴィンテージアンティークで揃えられており

高級感が漂う。



(沖矢さんのお家ってお金持ちなのかな…)



1つ気になったのは

部屋全体に生活感がないと言うこと。



「…痛っ」



首元にヒリヒリとした痛みを感じ、

そっと触れると絆創膏が貼ってあった。



(沖矢さんが貼ってくれたのかな…

痕、残らないと良いけど)




ふと、自分の着ている服が目に入る。

白いサテン地にピンク色の小さな花柄がプリントされていた。

袖には赤いラインが1本。

自分の太ももと太ももが直接触れる感覚がして

布団を持ち上げて見てみると、

どうやら前あきのワンピース型をした

ナイトウェアのようだ。


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