第3章 CUT
850年。
人類は狭い壁の中で窮屈な暮らしをしていた。人類にとっての脅威である巨人という化け物から身を守るために。
しかし、その狭い壁の中から出て、壁外の巨人領域に挑む兵団があった。
かつては成果も乏しかったため、「税金の無駄」と言われて軽視されていた時期もあったけど、845年ウォール・マリア陥落以降は壁外での活動の必要性が認められるようになった。まぁ、それでもこの兵団を軽視する声は少なくはなかったんだけどね。
元々、壁外への壁内人類の進出や興味を持つことを防ぐという裏の目的を持っていた王政府にとっては目障りな存在であったみたいだけど、壁外への興味を持つ危険因子となりうる人間を体よく壁外へ追い出し始末する、そしてその惨状を民衆に見せつけることで彼らの壁外への興味を削ぐというある種のスケープゴートとして当初はあえて生かさず殺さずに存続させていた、という酷い話もあったくらいだ。
それもそのはず、この兵団は最も規模が小さい兵団で、民衆のみならず他の兵団からの当たりも強い。
壁外調査では毎回三割の損害が当たり前。
壁外調査に行った新兵が生き残れる確率は極めて低く、五割が戦死する。
それが、【調査兵団】。
私と、ヒロの所属した兵団だ。
私は調査兵団で第四分隊の分隊長を任されていて、ヒロは私の直属の部下__つまりは、通称【ハンジ班】と呼ばれる第四分隊一班のメンバーだった。
二ファ、ケイジ、アーベル、モブリット、ヒロ。
それが、可愛くて仕方ない私の直属の部下たちの名前。