第11章 愛は目に見えずとも 【黒無常】
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『今日は調子が乗らないからって事にしてあげるわ。』
雨はますます酷くなる。
相変わらず伏せたままの黒無常を見つめたまま口を開ける。
『……私は教会の方に行くよ。みんなが心配しているだろうし…』
ばっと顔を上げた黒無常に少し驚きながら、立ち上がって出口の方へ向かった。
いざ出ようと1歩踏み出そうとした瞬間____
後ろから冷たくて、温度が無さすぎる腕が腰に巻きついていた。
黒「…行かないでくれ。」
掠れた声が耳に残る。
『………分かった…』
逃げられないように強く抱きしめられている事がよく分かる。
先程よりもしっかりとくっついて離れようとしない。
『…あの…ベル野郎…』
黒「……范無咎だ。」
『……ふぁ……?………うじんで。』