第10章 愛及屋烏 【占い師】
×××
イライさんの部屋の前にまでやってきてしまった。
イライさんの部屋は鍵がしっかりとかけられている。
普通なら諦めればいいのに、お酒が入った私はピッキングをして部屋に侵入する。
そこには規則正しく眠っているイライさんが居た。
そっと頬に手を添えて、さする。
『あぁ、眠っている姿まで好き…好き…好きなのに……貴方は私よりも別の人にぞっこん中。』
『……応援したい私と……応援したくない私がごちゃごちゃに混ざって感情が分からない……うぅ……どうしたらあなたを手に入れることが出来るの…私だってこんなことしたくないけど、貴方が悪いんだよ…』
ラフな格好をしているイライさんのズボンを脱がせようとした時。
イ「…ルイスさん」
『っ!!!どうしてイライさんは眠りが深いはずじゃっ!』
イ「点眼です。貴方が私の部屋に来ることはとっくに分かっていました。」
『……私……うぅ……貴方が好きで好きで堪らないの…でも、叶わないのは分かってる。』
イ「……ごめんなさい」
あぁ、やっぱり目の前で失恋なんて嫌だ。
プシュっとウィラの香水を振った。
『貴方には私の存在自体忘れてもらう。』
イ「っ…そんなことしてもっ…苦しむのは…ルイスさんっで…」
香水を嗅いだ彼は1度眠りにつき、次に起きた時は私のことを忘れているはずだ。
左目から涙がポロリと流れた。
『貴方にはわかんないよ…好きになった人には既に追いつけない婚約者が居るなんて分かるはずもない…こんな気持ちなんて…捨てたかった…』