第10章 愛及屋烏 【占い師】
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イライさんを知っていく度に好き度が増していく。
彼の肩に乗っている梟にまで愛着が湧いてくる程だ。
そんなある日の事だった。
夜中にイライさんとナワーブ君が会話しながら歩いてるのが聞こえてきた。
私の部屋の前の通り道だったので、よく聞こえる。
ナ「イライの能力は本当に素晴らしいぜ!オマケにイケメンなんだからさぞモテてそうだな〜」
イ「ありがとう。モテてはいなかったよ。私には大切な婚約者が居るんだから。」
ナ「まっ!?!?21で婚約者持ちかよ〜!!幸せものじゃねぇか!」
イ「えぇ、とても幸せです。この指輪がある限りは。」
そんな話を廊下の通り道で大声で話すナワーブ。
大声のナワーブに感謝して良かったのかもしれない。
『そんな……婚約者が居たなんて……これじゃ勝ち目なんてないじゃん…』
嫌でも聞こえてくる、「大切な婚約者」その言葉に胸が苦しい。
息の仕方が分からない…涙が止まらないよ……
まさか…こんな…恋って自覚して直ぐに失恋なんて情けないなぁ……。
諦められるかな…私…こんな日こそお酒を飲んで忘れよう。
浴びる様に飲んだお酒…その時、私はお酒に任せてしまったのがダメだった。