第10章 愛及屋烏 【占い師】
×××
『初めまして、占い師さん。』
占「初めまして。」
笑顔で挨拶をする占い師。
悪い人では無さそうだ。
『この荘園を案内するわ。』
占「よろしく頼みます。」
相変わらず笑顔だ。
声を聞けば、野太く芯のある声で男だと確信した。
渡り廊下を歩いている時はお互い話すことも無く、隣に歩くことも無く、私が少し先に歩いてる。
例の部屋に入る時は私が先に扉の前で立ち尽くし、占い師に先に開けるように指示した。
占い師が部屋の扉を開けると、大きなクラッカー音が響く。
そして彼たちの声が響く。
「「「「「「ようこそ!エウリュディケ荘園へ!」」」」」」
よく響く声だなと感じた。
占い師は驚いていたけど、あんまり驚いてる様には見えない。
むしろフリをしているようにしか私は感じられなかった。
後で聞いてみればいいか。
今は楽しそうにしてる雰囲気を壊す訳には行かない。
完全に楽し切ってる彼たちは酔いが回っている。
このままこの部屋で皆、寝落ちコースだろう。
お酒を好まない私はマーサとオレンジジュースで乾杯していた。
占い師さんも楽しそうにみんなと話していた。
そろそろパーティーもお開きになりそうだったので、私は一足先に抜けて外の空気を浴びるため、ベランダに向かった。