鏡の国で魔法にかけられて…‧*˚✩︎‧₊˚【ツイステ】
第6章 ジェイド 危険なうつぼの狂愛꙳✧˖°⌖꙳
いえ、正確にはプロポーズと言った方がいいかもしれません。
うつぼにとって"番"とは生涯を共にする相手ですから。
「僕の番になっていただけませんか?あぁ。ちなみに返事は"Yes"しか受け付けません。」
逃げ腰になる彼女を壁際に追い込み、顎をぐいっと持ち上げ、逃げられないように捕獲して…。
ふふ、前夜に勉強した"ポイント"を完璧に再現しました。
莉冬さんは、感激のあまり身体を震わせ、瞳を潤ませていらっしゃったので、胸きゅんな演出は大成功。ですよね?
「ひぇっ…!どっ…どうして…?僕なんですか?先輩とは初対面ですし…あの…」
「ふふふ…そんなに緊張なさらないでください。僕は貴方に恋をしてしまいました。僕の生涯の伴侶になってください。」
「こっ…恋…?!伴侶?!あのっ…」
「勿論、貴方の秘密はお守りしますよ。まぁ、僕も他の雄に貴方の愛らしい"雌"の姿を見せる気はありませんので…。」
「気づいてっ…!?ち…ちょっと時間を…くださいっ…!」
その後は可愛い反応を見せる彼女を追い回して、あの手この手で彼女を籠絡する為に全力を尽くしました。
よく考えると、こんなに夢中になった雌は生まれて初めてでしたね。
僕の初めてばかりを奪って…莉冬さん、貴方はまったく罪な人です。
彼女が僕の気持ちを受け入れてくれた夜は嬉しすぎて、もっと深く強く繋がりたくて…何度も何度も気持ちを確かめ合いました。
陸の交尾は信じられないほど恍惚で…いえ、この話はやめておきましょう。ふふふ。
全ては僕の計画通り。
素直で従順な彼女は僕だけのもの。
そう思っていたんです。
なのにどうしてでしょうか?
なぜ彼女は僕を避けるのでしょう?
なにか機嫌を損ねることをしてしまったのでしょうか?
彼女について知らないことがある…
それだけで気が狂いそうなんです。
頭に浮かぶのは、表情がコロコロ変わる愛らしい彼女の事ばかり。
笑った顔、拗ねた顔、泣き顔、乱れた顔も全て愛しいのに、今日の怒った顔には、なぜか胸がチクッと痛みます。
普段なら冷静に分析して相手の心を簡単に読むのに、今回は暗澹な気持ちばかりが膨らんで、何も考えられません。
僕の隣にいるべきはずの彼女が、他の雄の隣にいる姿を見て、血が滾るほどの怒りを覚えました。
"はらわたが煮えくり返る"とはこういう感情なのでしょう。
