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【グノーシア】【短編集】宇宙を漂う船の中で

第3章 目は口ほどに物を言う【ラキオ】


一日目の議論が終わった夜のロビー。
ツバサと私、レムナンとオトメという中々見ないようなメンバーで談笑をしていた。
「しげみちが今日コールドスリープしたけど、会議のとき勢いよく『俺が本物のエンジニアだ!』って名乗り出てきたからもう嘘だなってわかっちゃったよ」
「そうなの、あたしもちょっとびっくりしたけど嘘だなって気づいちゃったのです」
「なんか、しげみちさんの、嘘ってすぐ分かりますよね……」
「うん、私を含めたここの四人はみんなしげみちの嘘に気づいたんじゃないかな……」
私も伊達にループを繰り返しているわけじゃない。
あの御歳八十八歳のしげみちは優しくて気のいい性格だが、とても嘘が下手であり、偽物の時は勇敢に名乗り出てくる。
そんな時にコメットやジナ、オトメなどの直感が高い人は高確率で嘘に気づいているため、疑われてすぐにコールドスリープされるという流れに落ち着くことが多いのだ。
私も別のしげみちと一緒にグノーシアをやったことがあるが、そのときはしげみちよりも先に名乗り出てしげみちが嘘をつかないようにしていた。
そうでもしないと仲間がすぐに減ってしまう。
しげみちには申し訳ないが、名乗り出られると正直冷や汗が止まらないのだ。
……それにしても先程から目線を感じるのは気のせいだろうか。
三人に気づかれないように辺りを見回してみると、ロビーの入口付近に見慣れた極彩色の人物を見つけた。
私に発見されたことがわかったのか、こちらをジト目で睨んでいる。
ラキオ、何がしたいんだ。
三人に断って、ラキオの元へ向かう。
「なンの用だい?僕は君と違って忙しいンだ。話があるなら早めに済ませてくれない?」
「なんでさっき私たちの方をずっと見ていたんだ?」
単純に気になった。ラキオがまさかこちらを覗くような真似をしていたことに。
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