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【グノーシア】【短編集】宇宙を漂う船の中で

第2章 Messiah【レムナン】


闇夜の中を逃げる僕達。
僕の手を引いて走る力強い背中。
「あ、あの……どこに、向かってるん、ですか……?」
「それは着くまでの秘密」
まだまだ謎の多い彼女。
「ねぇ、君、名前は?」
「え、あ、れ、レムナンです……」
「レムナンね。私はツバサ。さ、自己紹介はここまでにして、着いたよ」
少し息切れしながら着いた先は、
「宇宙船……?」
「星間航行船、D.Q.O.だよ。私はある人にここに乗せてもらってるの。ここに来たのはたまたまだけど、苦しんでる貴方を放っておけなかった。……グノーシアも蔓延ってる時代だし、安心出来る場所は必要でしょ?」
「………ありがとう、ございます」
「お礼はいいよ。私がしたくてやったことだから」
かっこいい人だ……感嘆してしまう。
「さ、早く人目につかないところに行こうか」
そう言って、また彼女は僕の手を引く。
そのまま入口までの階段を上って、僕らは星間航行船D.Q.Oの中に入った。
『お帰りなさいませ、ツバサ様。どうやら、もう一人いらっしゃるようですが…』
「ただいま、LeVi。この子はレムナン。私が助けたの」
「左様でございますか。初めまして、レムナン様。私はこの船の擬知体LeViと申します。よろしくお願い致します」
「ぼ、僕の名前はレムナンです……よろしくお願いします、LeViさん」
「レムナンは擬知体にも優しくするんだ、偉いね」
「ぼ、僕は擬知体しか、いない、星で生まれたので……家族も、皆擬知体だったんです」
「へぇ〜、そうなんだ!それを聞いたら、ステラ喜ぶだろうな〜!」
「す、ステラ……?」
「ああ、ごめんね?ステラっていうのは、私と同じここの乗組員の人で、とっても綺麗な女の人だよ」
「お、女の、人……?」
「あ……もしかして、女の人、苦手…?」
「は、はい……すいません……」
「謝ることないよ。それは仕方ないんだから」
僕よりも少しだけ背が高い彼女。
慰めるように僕の頭をふわふわと撫でてくれた。
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