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【グノーシア】【短編集】宇宙を漂う船の中で

第1章 ずっと昔から【沙明】


今、今俺のこと、『ミンくん』って……
「覚えてたのかよ……やっぱり」
「……うん。忘れるわけないよ」
ならどうして。
俺は今の今まで、コイツしか頭の中にないほど想っていたのに。
なんで忘れたフリなんか。
「昔からの幼馴染みたいな人で、……私の初恋の人でもあるのに」
「!?」
この船に乗ってから俺驚かされてばっかじゃねェ?
忘れられていたと思ってたし、それに……
……いや、そんなことは今どうでもいい。
衝動的にツバサを抱きしめる。
「み、ミンくん……!?」
「ずっと、ずっとお前のこと好きだった……!十年以上経っても、俺があの時言ったコト、お前を傷つけるようなことッ……!お前に拒絶されるのが怖くて、伝達すら出来なかったッ……それでもずっと謝りたい気持ちは消えなくて、……好きって気持ちも消えなかった!騒動に巻き込まれて、俺がグノーシアになって、この船に乗って、お前と再会したと思ったらお前には忘れられてると思ってそン時本当に絶望したッ……俺はグノーシアだし、お前が人間だったらお前を消しちまうかもしれねぇと思った……!でも、お前もグノーシアだって分かった時は、不謹慎だけどちょっと嬉しかった。お前を消さずに済むし、この船を制圧したらお前とどこへでも行くつもりだったからよ。……昔みてぇに気まずくなるよりは、今の方がいいと思って、ずっと言うことが出来なかった。……でも、お前が俺のこと覚えてるってさっき分かって、すっげェ嬉しかったんだよ」
抱きしめたまま矢継ぎ早にツバサへ告白する。
でも、これはほとんど俺の溜まりきった感情のままに出てくる前置きでしかなくて。
本題はこっちなんだよ。
「……あの頃から俺らは何も変わってねェ。今度こそ、ずっと一緒にいようぜ。……約束。な?」
「うんっ……!人間じゃなくなっても、ミンくんとずっと一緒にいたいよっ……!好き……好きだよッ……ミンくん……」
「俺も好き……ツバサ」
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