第19章 ※甘い夜
「さぁ。せっかく温まった体が冷えてしまうぞ。」
をひょいっと抱えあげて部屋に入った。
「・・・これから杏寿郎がもっと暖かくしてくれるんじゃないの?」
は杏寿郎の首にしがみつきながら悪戯っぽく言う。
「・・君は・・・全く・・・。さっきから緊張で口から心臓が出そうだというのに!」
杏寿郎はそのまま布団の上にそっと降ろし、に体重を掛けずに覆いかぶさる。
「・・・私も、待ってる間緊張しすぎて居たたまれなくって・・。ちょっと今顔見ないで。」
は首筋にしがみついたまま言う。
「そういわれると見たくなるな。」
杏寿郎は回された腕を外し、の顔を覗き込む。
は両手で真っ赤になった顔を隠し、横を向く。杏寿郎はふっと笑って愛おしそうに耳や頭、頬、顔を隠している手にちゅっ、ちゅっ とたくさんの口づけを落とす。
「、本当に顔を見せてくれないのか?」
は、大きく息を吸い、ふーーーっと吐いて、少しずつ手をずらす。赤く染まった頬、うるんだ瞳はとても艶っぽく、杏寿郎は眩暈がして頭の奥に熱がこもるのが分かった。