第18章 ルビーの指輪
杏寿郎が少し悲しい顔をしたので、は慌てた。
「ううん。ちょっと待って。」
涙を拭き、も杏寿郎を真っすぐに見る。
「私も好きです。大好きな人にここまでしてもらってびっくりして涙が出た。」
「不束者ですが、どうぞよろしくお願いいたします。」
深々と頭を下げ、顔を上げて嬉しそうに笑う。
「そう。その顔だ。その笑顔にいつも救われる。本当に可愛いなは。」
「指輪受け取ってもらえるか?」
「もちろん!はめてくれる?」
杏寿郎はの左手を取り、薬指にすっとはめる。の細く白い指にルビーはともてよく似合った。そしてそのまま、指先にちゅっと口づけを落とした。
「綺麗・・・。嬉しい。」
杏寿郎は指輪をはめた手を取りながら、嬉しそうに説明を始めた。
「君の顔は華やかだからもっと大きな石でもよかったんだが、性格は控えめだから大きさよりもなるべく赤い石を探してもらったんだ。」
にこにこしながら話す杏寿郎の顔をじっと見つめながら聞く。
「。・・・俺の顔ではなく、指輪を見て欲しいのだが・・・。」
「ふふふ。指輪はあとでゆっくり見せてもらう。杏寿郎の嬉しそうな顔を見てると、すごく幸せな気持ちになった。私。今日の事、一生忘れないと思う。」
「そうか。そんなに喜んでもらえたなら俺も嬉しい。」
「指輪を買いに行くのは存外、恥ずかしかった。」
「これからは、二人で一生の思い出をたくさん作って行こう。」
「抱きついていい?」
上目遣いに杏寿郎を見ながら、が言う。
「もちろんだ!」
そういうと両手を広げた。は杏寿郎の胸に飛び込むと、そのままひょいっと抱えあげられ、杏寿郎と同じ目の高さで抱きしめられた。