第13章 宇髄天元
「おー!、やったな!」
天元が右手を出してきたが、は目もくれず自分をかばった時に斬撃が当たった左手を掴んだ。
「天元様。手は大丈夫でしょうか?」
天元は手を振り払おうとしたが、は離さない。
「大した事ねぇよ。すぐ治る。」
は天元の言うことも聞かず、手の飾りを外し傷を見ると、小指の付け根の辺りがぱっくり開いており、血がポタポタ垂れていた。
「すみません。私の不注意で。」
は、目に涙をためて謝りながら、手際よく布を巻き付け止血した。
「いや・・。泣くなよ。大丈夫だ。大したことねぇよ。」
急に泣き出したにギョッとする。
は消毒液を一瓶バシャっと掛け、縫合し始めた。
「おーい。全然聞いてねぇ。おいってば、まずは涙を止めろ。手元が狂うぞ。」
天元が右手で涙を拭いてやるも、どんどん涙が出てくる。
はあっという間に傷を縫合すると包帯を巻いた。
「痛く・・・ないですか?」
自分の手に天元の手をそっと載せて尋ねる。
「だから、痛くねぇって。ほら腱も切れてねぇし、指も動く。血も止まった。満足したかよ?」
天元はの目の前で掌を開いたり閉じたりして見せながら涙を拭いてやる。
「お前。戦闘中との落差がすげぇんだけど。血、怖いのか?」
「すみません・・。血を見るとゾッとするんです。」
「そーかよ。ま、手当てしてくれてありがとな。お、髪の毛ふわふわじゃねーか。」
天元はの頭をわしわしと撫でる。
「そういえば、も足怪我したろ?見せてみな。」
の腰をひょいっと持って自分の膝に座らせる。
「腰・・・細!何これ?こんなんでよく俺をあれだけ飛ばせたな。」
天元はの太腿の怪我を見て、血を拭いた後に軟膏の付いたガーゼを貼った。