第20章 意識不明
四日目の朝
はふと、そういえば蝶屋敷に来てから全く寝ていないことや食事はいつ摂ったか覚えていないことに気付く。
そりゃ気分が下がる一方だと反省し、近くにいたきよに杏寿郎をお願いして病室から出た。炊事場へ行き、少しだけ食べ物を貰う。せめて日の光を浴びようと庭へ行くと天元がいた。
の顔を見て慌てて近づいてくる。
「おい。・・・・お前。すげぇ顔してるぞ。」
「おはようございます。顔がひどいという自覚はあります。」
「いやいや、もうおはようの時間じゃねぇし。大丈夫か?」
「大丈夫じゃないと、さっきやっと気づきました。」
「・・・とりあえず、飯食え。痩せたな。いや、やつれたか?」
天元がの腰をわしわし触りながら言う。
「気づいたら、杏寿郎が怪我をしてからほとんど食べてませんでした。」
「何日前だよ?寝てもねぇんだろ?腰触っても無反応だもんな。」
「自分の心が弱いと自覚しました。」
天元はが話しているのを聞きながらを抱え、庭がよく見えるところに座らせる。そしての持っていたおにぎりを一口づつ千切ってやる。
「自分の弱点に気付けて良かったじゃねーの。ほれ口開けろ。」
は素直に従い口を開ける。
「俺が弱っていた時に慰めてくれたの嬉しかったぜ。ほれ、あーん。」
は天元をじっと見ながらもぐもぐと食べる。
「俺もあの時、己の弱さを自覚した。ほらよ、次は茶も飲め。」
湯呑みをの口に運び、飲ませてやる。
「子どもに飯食わせてるみてぇ。自分の行いを振り返るのも次に進むために大切なんだろ?ちょっと大きく口開けろ。」
は口に入っているおにぎりを飲み込んで口を開く。
「そんなの誰が言ったんですか?」
「お前だよ。昔、煉獄がによく言ってもらうって言ってたぜ。」
杏寿郎の名前を聞いて、は急に涙目になってきた。