第20章 意識不明
「うわっ 泣くなよ。不安定になってんじゃん。よしよしせめてこれ全部食べてからにしろ。」
はぽろぽろと涙をこぼしながら残りのおにぎりを全部食べた。
「杏寿郎が、このままいなくなったら・・・私、生きていけないと思いました。」
は食べ終わると、さっき思っていたことを天元に話す。
「いや、寝てない時はそういう思考になる。思いつめても意味がねぇ事が分かんなくなるんだよ。ほれ、泣くな泣くな。」
の涙をごしごし拭きながら言う。
「お前、泣き虫治ってねーじゃん。煉獄はお前がいるのに死にゃしねーよ。あいつの心が強いのはお前が一番知ってんだろ?」
の目からは拭いても拭いても涙がどんどんあふれてくる。
「泣くなって・・・・いや、もういいや。むしろ泣け。気が済むまで泣けよ。」
「天元様が胸を貸してやる。」
をひょいっと抱え、胡坐をかいた太腿の上に座らせ、の頭を自分の胸につけてやる。
はそこでしばらく顔に手を当ててしくしく泣いた。
天元はの体を抱えるようにし、よしよしと頭を撫でる。
「少し寝ろ。疲れてんだよ。煉獄が目、覚ますまでずっとそばにいてやるんだろ?」
はこくりと頷く。
「天元。いい匂いがする。」
「当り前だ。俺、色男よ?やっと天元って呼んだな。」
少しすると、すーすーと寝息が聞こえた。
「本当、子供みてぇ。」
天元は呟くと、寝ているの体をぎゅっと抱きしめ、おでこに口づけをした。