• テキストサイズ

夢幻泡影【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】

第10章 雨だれのフィナーレ【呪胎戴天/雨後】


「その前に確認したいんだけど、詞織は叫んだ後に気絶した……それから目を覚まさないんだね?」

「はい。虎杖が倒れて――……最初、宿儺に連れられて呪霊の生得領域から出てきました。そのときすでに意識はなかったんですが……俺が宿儺と戦っている間に目を覚ましたみたいで……その後、虎杖が倒れたのを見て……たぶん、ショックだったんだと思います」

 いや、ただ同級生が死んでショックだったわけではない。もちろん、それもあるだろうが。

 おそらく、詞織のトラウマを直撃したのだろう。

 虎杖 悠仁は心臓を抉られて死んだ。
 伏黒の話では、呪霊にやられたのではなく、宿儺がやったらしい。どういう意図があったのかは知らないし、知るつもりもないが。

 古来より心臓は、呪詛に使用すれば強力な呪物となり得る。
 それを知った上で、十年前の【神ノ原の惨劇】のとき、詩音は自らの心臓を抉り出し、呪詛の媒体に使用した。
 それも、詞織や星也たちの目の前で。

 つまり、詞織にとって心臓を抉り出すという行為は、己の半身を失った十年前に直結するのだ。

「……恵の話を聞く限り、詞織の昏睡状態は心因的なものだ。だから――詞織の生得領域に入り、連れ戻す」

* * *

/ 381ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp