【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第8章 CP9最強の男
「ミスティ様はどう思われますか?」
他人事のように思っているとカレンが聞いてきた。
「ミスティ様もあのような方がお好みですか?」
『え、彼は同僚って言うか上司のような感じだから。しかも一昨日初めて会ったばかりだし…』
「確かにそうですよね。でもミスティ様とお似合いだと思いますけどね!」
(え!?)
「あ!あとはスティルハート・レイン様も人気ですね!あのお方もお強くてクールな感じはしますがルッチ殿とはまた違うカッコ良さがあると人気です!先日、こちらにお見えになっていましたよね?私的にはミスティ様にはスティルハート様でも良いと思いますね!お2人がお並びになられる光景は想像しただけで目の保養になるビジュアルです/////」
『…はぁ』
なんだかおかしな方に話が進んでしまっている状況に呆れるミスティではあったが、カレンと話していると革命軍としての任務やCP9としての活動を暫し忘れ、自分が普通の女の子であるかのように思えてくることに嫌な感情は無かった。
(こんなこと、話すこと無かったもんな…)
貴族の家に生まれ決められた道が用意されていた彼女にとって、同世代の友達と恋の話などをする機会はなかったのだ。
「えー、興味無さそうですね。お2人はダメですか?ん~ミスティ様はどんな感じの男性がタイプなんですか?」
『えっ?』
「いらっしゃらないんですか?気になられる方とか。」
気になる人…か。
一人の男の太陽のような笑顔がふっと過ぎった。思い出さないように蓋をしてきた思い出。恩人への孝行の為に捨てた彼の傍に居たいという気持ち。
1度触れてしまった記憶はどんどん溢れてきて止めようと思ってもミスティの頭の中に広がっていく。
"ミスティ!"
「…ミスティ様?」
黙り込んでしまったミスティの名前を呼んだカレンはハッとした。
「申し訳ございません!プライベートな事を詮索するようなマネ…」
気になる人が居るのかと聞いただけで涙を流すミスティに動揺するカレンは思わず彼女に駆け寄った。
『…っ、大丈夫。ごめんなさい。ちょっと昔を思い出してしまって…』
溢れる涙を両手で拭いながらミスティは答えた。
その日、ミスティはごめんなさいと何度も言いながら涙を流し続けるのだった。