第11章 京都っていいよね
家入side
解剖の資料の整理をしている最中に、伊地知が入ってきた。
それも、血まみれの零を抱えて。
伊地知は、私に詳細を説明して、すぐに医務室を去っていった。
赤血操術の使いすぎに、呪力は尽き、領域展開でさらに呪力消費し、相手の攻撃がモロに当たったのか血まみれになっていた、と。
目立つ傷は、反転術式で治そうとした。
が、治せなかった。
零の肉体が、反転術式を拒絶したのだ。
それてもなんとか無理矢理治し、包帯を巻いておいた。
酷く他人事の様に捉えている自分が居たのは、やはり彼女が“特級”だった。と言うことも含まれていたからだろうか。
意外と早く手当ては済んだ。
これはしばらく、見舞いが競って来るな、と想像しながら、カルテを片付けた。