第15章 拾肆 止まない音
『え、まさか…』
「いや、かかってねぇよ」
顔の前で手を横に振った
『え、嘘だー』
俺を見やるは、まさに悪女の顔をしていた
だがそれもまた魅力で
こいつになら騙されても良いと言う程美しいものだった
(そう…だね)
さっきの顔は外にいることも忘れ、危うく手を出すところだった
いつの間にあんな色気出すようになったんだ…
生娘じゃなかったのか?
俺の思考はまだ覚束ないようだ
「…ちっ、俺はこの辺捜索してから本部に戻る。お前はもう良い」
『え?手分けした方が早いんじゃ…』
「俺の感覚が鈍んだよ!分かったらド派手にさっさと帰りやがれ!」
そう言うと天元は北の方向へ跳んでいってしまった
天元の代わりに白音が上から降りてきた
『なんだ…今日の天元』
誰もいなくなった夜道にポツリと呟く
「のせいだぞ」
『えっ、そうなの?』
「分かんなくていいヨ」
とりあえずあまり受けたくなかった任務も早く終われた事だし
さっさと帰ろうと自身の隊服を取りに戻った