第12章 拾壱 独占※
触れるだけの口付けがすぐ離れた
『っ…離さないで』
「先程と言ってる事が違うが」
『…意地悪』
「…こっちの台詞だ、名を呼ぶのにどれだけ待ったか」
眉間に皺が寄る義勇につい顔が綻ぶ
思いが通じるとこんなにも鼓動が心地好く感じると思わなかった
『離さないで…義勇』
どんな反応を見せるか試したくなり、義勇の首に腕を回し悪戯っぽく言ってみた
私の羞恥心は何処かへ行ってしまったようだ
義勇は驚いた顔をした後、私の腰に手をやり互いの額を合わせた
眉間には再び皺が出来た
「その誘い文句は何処で覚えた」
『何処だろう…分かんなんっ』
急に口を塞がれた
角度を変え何度も啄むような口付けをしてきた
わざと音を出し、静かな屋敷に厭なくらい響く
それは互いを高揚させていった
僅かに開いた唇に捩じ込まれ互いの舌が交わる
『ふぅっ…』
口内を犯され歯列を舐める行為が余りにも気持ち良く、声が出た
唇が離れたと思えば私を抱え縁側から一番近い部屋に移動した