第3章 弐 自分の未来
「行ってきまーす!」
私達は父が営んでいる道場へ向かった
「姉さんの雪だま硬すぎ!水含ませてたでしょ!」
『そんなことするわけ無いじゃん』
「あんなにはしゃいでも体力が有り余ってるようだな、これは稽古のしがいがあるもんだ」
「やだなー、父さん容赦ないもん」
「それだけ期待しているんだよ」
二人には教え子と共に稽古を毎日欠かさず行わせていた
今日は祝日のため勇紀に呼吸法を教える日だ
は既に水の呼吸の派生 雪の呼吸 を取得していた
鬼殺隊には入ってほしくはない
だが鬼が存在する世の中で自分の身を守れるような力を身に付けて欲しかった
勇紀はと違い見えるものも剣の成長も他と変わりなかった
だが幼い頃から姉や格上の者と稽古を行っていたお陰で九歳ながら呼吸法を身に付ける迄に至った
「そうだ、段々と上達しているな」
「もうクタクタだよ…」
そう言う息子を他所に娘は自分の呼吸を一切無駄な動きも無く磨き上げていた
「どうだ?疲れてないか?」
『大丈夫、今新しい型が出来そうなの』
雪の呼吸は歴代の鬼殺隊に居ない
故に教える技はいずれも水の呼吸の類似に過ぎなかった
はそれを水以外の型でも生み出していたのだ
「そうか、流石だな」
呼吸の練習をする娘は誰よりも輝く瞳をしていた