第11章 拾 柱として
は責任感が人一倍強く、任務は誰もが認める成果を挙げる
だが今のは脆く崩れ落ちそうだった
このまま一人にさせてはいけないと屋敷に上がった
鱗滝さんの話では、母親は元風柱、父親は元水柱最強と吟われていた人物
相手は上弦以上だろう…悔やんでも悔やみきれない
『疲れちゃって…』
己の強さを鼓舞し、入隊後たった二ヶ月で柱となったには荷が重く、心が押し潰されそうだった
俺は初めて会ったに諭されたお陰で前を向けた
初対面であそこまで言われた時は驚いたが、それだけ必死になってくれたのだろう
俺はがいてくれたから進むべき道を向いている
「少なくとも俺は助けられた、今もそうだ。その行動に決して間違いはない、柱として胸を張って生きろ。疲れたなら俺を頼れば良い」
そしてこれからものために己の道を進む
『…義勇』
名を呼ばれ、あの時の感情がまた溢れ出てきた
艶やかな灰色の髪
細く長い睫に吸い込まれそうになる灰色の瞳
白く透き通った肌に赤く整った唇
誰にも渡したくない
宇随ごときに渡すものか
俺だけを見て欲しい
何処に隠されていたか分からない自身の欲が次々と沸き上がる
「…良いのか」
返事はなかったが、もう止めることはできなかった