第8章 漆 兄弟子
見廻りを行っていた
柱となってから一週間
私は任務の他に山積みの報告書類
更にはこの見廻りが増えたお陰でてんやわんやだった
そして警備地区の範囲が異常に広い
溜め息を漏らし空を見上げた
空は曇で覆われて今にも雨が降りそうだった、梅雨の時期に差し掛かっていた
私の地区は鬼が出現しやすいと宇随さんに言われた
実際ほぼ毎回鬼に出くわし、一日に複数相手にすることもあった
だがこの山には気配を感じなかった
他の所に移ろうとした時、白音が焦った様子で私の肩に降りてきた
「北西に鬼多数出現!加勢しに行ケ!」
鬼は基本群れない
自分の獲物を独り占めするためだ
人が集まっているのだろうか
『分かった』
白音に返事をすると北西に走り出した