第18章 拾漆 残酷
本格的に冷え込む二月
家族が居なくなって、今日で丁度一年が経った
新たな警備地区には狭霧山が入っており、見廻りを終えた私は此処に戻ってきた
狭霧山は相変わらず空気が薄い
だがこの空気は私を帰って来たんだと実感させる
『ただいま』
来る途中に購入した花を埋葬した場所へ置く
そして手を合わせ家族へ語り掛けた
この一年を振り返るように…
いくら斬っても増え続ける鬼と犠牲者
両親がこんな思いを背負いながら生きていたと思うと胸が痛んだ
お父さんの鬼殺隊へ行って欲しくないという親心も
入隊してからは痛い程分かった
一刻も早く家族の仇を伐ち、鬼が居ない世の中にすると誓った
相変わらず返事はなかった