• テキストサイズ

わたしは、この日のために【鬼滅の刃】

第14章 無限列車


「姉ちゃん、医者か何かか?頼むから、俺の息子を診てくれぇ」
そこには中年の男性が10歳ぐらいの男の子を抱き抱えていた。
その子は頭から血を流している。

愛が医師さながらに処置をしていたのを見て、勘違いしたようだ。

『あ…わたし、行かないと…』

「待ってくれ!こっちも診てくれ!足が痛いんだ!」

「こっちも!助けて!まだ、中に人が!」

口々に人々から助けを求める声がする。

行かないと、行けないのに
でも、放ってはおけない
放っておいたら杏寿郎様に叱られる…
迅速に処置をして向かうしかない

愛は片っ端から処置をした。
中にいる人たちもみんな助けた。
他の者にも処置の仕方を教え、薬箱を置いて、急いで杏寿郎の元へと向かった。

痛む足を引きずりながら、前の方の車両を目指す。
車両を杖代わりにしながら、線路沿いに進んでいく。


ビリビリと殺気のようなものが伝わってくる。

もうすでに始まっている
急がないと、急がないと!
わたしは!何のためにここまで!

ぐっと力を込め、精一杯の早さで向かっていく。

ズル、ズル…と足を引きずりながらやっと、立ち尽くす伊之助と、倒れ込んでいる炭治郎の姿が左下に見えた。
愛は土手の上に立っていて、二人の闘っている姿も見えた。

そして、声が聞こえる。


「杏寿郎、死ぬな」



「どう足掻いても人間では鬼に勝てない」


「俺は俺の責務を全うする!ここにいるものは誰も死なせない!」



ああ、待って!

わたしが動かなければ、彼は死ぬ
わたしが行かなければ、彼は死ぬ

もう、わたしは貴方が死ぬのを見たくたい!



わたしはこの日のために!



わたしはこの一瞬のために今までここで生きてきた
今、動かずしていつ動く

動け、体
足が折れていようが何だ!

飛べ、翔べ
最高の速さで突き抜けろ

/ 76ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp