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わたしは、この日のために【鬼滅の刃】

第14章 無限列車


しばらくすると、ギャアアアという耳を塞ぎたくなるような断末魔が聞こえた。

そう思った瞬間、車両全体が踊り出した。
生き物がのたうちまわるように揺れ、車両の中で平衡感覚を失った。

このまま、倒れてしまう
受け身をきちんと、取らないと!

そう思った愛。
ふと、目の前にお母さんの腕の中からすっぽ抜けて飛び出した赤子がいた。

このままだと、窓に激突してしまう。
そうなった場合、命の保証はない。

わたしが守らなきゃ!

愛はそう思い、必死で腕を伸ばし、赤子をつかむ。
その瞬間、自らのお腹の方へと隠し、自分は体を丸め、全身でその赤子を守る。

車両はめちゃくちゃにバウンドして、そのままぐちゃぐちゃに横転した。

その衝撃や痛みに少しずつ人が起き出した。
愛は赤子を抱えたまま、色々なところにぶつかったのか気を失っていた。

うあああん!

愛の腹の中に収まっていた赤子が泣き出した。

その響く声に愛も目が覚める。

『…よかった。守れた』

愛はその元気のよい泣き声にほっとした。
そして、体を起こそうとしたが、思うように立てない。

『…っ…足が…』
捻挫でもしてしまったのか、足首が腫れ熱を持っていた。

「愛!無事か?む、怪我をしたのか?…骨折ということもある。ここにいるものを救護しつつ、待機命令!」
どこからか現れた杏寿郎はそれだけ短く言うと、状況把握のため他の場所へと向かっていった。

『あぁ!杏寿郎様!』

あぁ!行かないで!
ここまで来て足を怪我するなんて
鬼が来るって知らせられていない
いや、知らせても杏寿郎様は戦うだろう

『とりあえず、応急処置!』
事前に用意していた薬箱から痛み止めの塗り薬を出し、腫れの部分に塗り、ぺたりと布を貼った。
そして、足首を手際良く包帯で固定した。

これで、力は込められないが、何とか少しは歩ける状態にはなった。

よかった、応急処置を勉強していて…
早く杏寿郎様のところへ行かないと

愛が立ち上がろうとすると、ガシッと裾を掴まれた。
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