第14章 無限列車
『ああああっ!!』
愛は自分の首を触った。
ちゃんとあることにほっとする。
愛が目覚めたのとほぼ同時ぐらいに禰豆子が血鬼術で紐を焼こうとしたところだった。
愛が急に起きたので、禰豆子がびっくりしている。
『禰豆子ちゃん。あ、りがとう。起きた、大丈夫だよ』
頭を撫でるとむぅむぅ!と嬉しそうだった。
「愛!起きたか!」
一足早く起きていた炭治郎が声をかけてきた。
『うん、自分の頸を切ったわ。炭治郎、ここは任せて、鬼のところへ!』
「わかった!」
上の魘夢は炭治郎一人で大丈夫
わたしは早くみんなを起こさないと…
禰豆子は血鬼術で他の人の紐を燃やしていく。
善逸、伊之助、杏寿郎は起きないのに、その夢に侵入していた一般人は起きてしまう。
「邪魔しないでよ!あんたたちが来たせいで夢を見せてもらえないじゃない」
おさげの髪型をしている子がそう言った。
『…は?』
愛は怒りが滾っていた。
『人の夢にズカズカ入り込んで、精神の中まで見て、殺そうとするなんて…悪趣味にもほどがあるわ』
「べ、別にわたしたちは言われたことをやっただけで!」
「…そうしないと、夢が!」
繋がってた人たちは口々に言い訳をする。
『核を壊せば、廃人になるんでしょ?人殺し同然だわ!!』
愛の剣幕と人殺しという言葉に戸惑いの色を浮かべる人たち。
『それ相応の覚悟があるんでしょうね!?』
そう言って愛は素早く刀の頭でおさげの子以外の首を打ち、失神させた。
『あなただけは、許さないわ。あなたはわたしの大切な人の心を盗み見た。…でも、杏寿郎様はあなたも許すと思う。だから、傷つけない』
「ひっ!ごめんなさ…」
謝罪の言葉を最後まで聞かず、先程と同じように失神させた。
『ふぅ…謝っても、許さないわ』
愛は一息ついて、禰豆子の方を見た。
『禰豆子ちゃん、時間がないわ。みんなの切符を探しましょう。それを燃やしてほしいの』
ゴソゴソとみんなの切符を探る。
杏寿郎様
杏寿郎様の夢の中へ踏み入れた不届き者はわたしがやっつけましたよ
自己満足ですが
それでも一言言ってやらねば、気が済まなかったのです
愛はそう言いながら、少し眉をひそめ、眠っている杏寿郎の切符を探し出した。