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わたしは、この日のために【鬼滅の刃】

第14章 無限列車


思い出した。
ここは無限列車の中。
こちらの方が…夢!!

次の瞬間、場面が変わる。
ここは…どこ
あたり一面、黄色の水仙が咲き誇っている。
きれいなはずの風景がなぜだか切ない。

黄色の水仙の中に、見覚えのある炎の柄の羽織を纏い、黄金と鮮やかな赤色の髪型をした男の人が立っていた。

『煉獄さ…杏寿郎様』

わたしが名前を呼ぶと、その人は振り返った。
髪色と同じ、黄金と赤の色の瞳が燃えていた。
水仙の花との混じり合いの美しさに息を呑む。

「愛!こっちにおいで」
笑顔で手を振ってくれる。

走り出す。
腰の辺りでカチャリと音がした。
刀だ。

そうだ、わたしはこれで頸を切らないといけない。

「愛!どうしたんだ?」
先程は遠くにいた杏寿郎様がわたしのそばにきた。

その香り、雰囲気、仕草全てが本物のようだった。
わたしはためらった、この夢から覚めてしまうのを。

「愛、伝えたいことがあるんだ…」

さぁぁぁっと風が髪を撫でる。

やめて、それ以上言わないで。

「俺は… 愛のことが…」

やめて!やめて!

「好きだ!」

少し顔を赤くした杏寿郎様がそこにいた。
それでも凛としていて、とてもかっこよかった。


なんて、都合の良い夢だっ!!

なんて、浅はかな夢なんだ…。

「…ごめんなさい。本当に、ごめんなさい」

夢の中でそんなことを言わせてごめんなさい。

早く目覚めて、本物に出会いたい。
ごめんなさい。
起きるのが遅くなってしまって。

わたしは自分の刀を抜き、その刃を自分の首に当てた。

『黄色の水仙の花言葉は…わたしの元へ帰って』

なんて自己中心的で、自惚れた夢なんだろう。

わたしがしゃんとしないと、あなたを助けることなんて到底無理なのに。

目覚めろ、わたし

「ああああああっ!」

わたしは刀を持つ手に力を込めた。

ふと杏寿郎様を見ると、ハッとした顔をしていた。
「愛!俺とここにいよう!ずっと、一緒だ!俺はどこにも行かない!好きなんだ!」

言われて嬉しくないはずがないのに、ただただ腹立たしい。
わたしの、思いを…覗き込むな。

わたしの思いはただ一つ。
あなたをきちんと、帰します。
みんなの元へ。
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