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花火 ー呪術廻戦ー

第10章 変化



「セーフ!」

「アウトだよばぁーか」

「えぇ!?まだ夜蛾先生きてないじゃん」


まさしく今の今まで話題の中心にされていたなまえが、そうとは知らずに教室に入ってくる。綺麗とは言い難い言葉で攻撃を仕掛けてくる五条に、驚いた顔をしながらも席に座り。周りの空気で、どうやら五条の機嫌が良くないことに気付いた。
答えを求めて、ソッと硝子を見る。


「…便秘?」

「いや、なまえかな」

「私?」


何したっけと、思い当たることでもあるのか考え込む彼女に、硝子は生温い視線を向ける。あれだけ好きだ好きだと言いながら、変なところで鈍い。
そんな、教室内の微妙な空気を割くように、勢いよく教室のドアが開いた。


「お前達、緊急の任務だ」


珍しく、ピリピリとした雰囲気を身に纏い、入ってきた夜蛾の姿に、生徒4人の視線が集まる。緊急という言葉に、誰もが思考を切り替えて、夜蛾の次の言葉を待つ。

「2日前、任務に出た冥冥と庵歌姫の2名と連絡がとれていない。すぐに現場へ向かい、状況を確認、救出もしくは任務を引き継ぎ呪霊を祓え」

その言葉の衝撃は、ひどく大きいものだった。2日連絡が取れていないということは、最悪の事態も想定される。そしてその任務に当たっている2人、少なくとも、冥冥は一級だ。そこら辺の呪霊にやられる実力ではない。

まさか、と。なまえは動揺を隠せなかった。こんな世界なのだ、身近な誰かが死ぬこともあるということは知っていたが。
知っているだけ、だった。
幸か不幸か、最強2人が側にいた彼女は、今まで「身近な死」という世界から無関係でいられたのだ。

「あの2人はそう簡単に死なないでしょ」

五条の言葉に、ハッとしてなまえは彼を見る。いつもと変わらなく見えるその表情に、なまえは無意識に心を落ち着かされた。
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