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花火 ー呪術廻戦ー

第14章 高専


内診やら採血やら、簡易的な検査が一通り終わって、椅子に座り硝子と向き合う。因みに斜め後ろには、五条が壁にもたれるように立っている。
検査結果が書かれている紙に、硝子は軽く目を通してから、なまえを見た。

「至って普通の人間だね」

言われて、なまえは何とも言えない顔をする。

検査中になまえが現れた経緯について、硝子に2人から話をした。普通ではあり得ないことだが、現実としてなまえは存在しており。いくら五条の六眼で本物判定されているとはいえ、その体が正常な人間の体であるのか、機能しているのかは謎で、健康診断も兼ねて硝子が診た訳なのだが。

「体の臓器も問題なく動いているし、腐敗もしてない。所謂ゾンビとかじゃないね」

「ゾンビ…」

「体の年齢も学生時代のそれだよ」

「ふーん。よかったね、なまえ。ちゃんと人間だって」

そんな人間かゾンビかみたいなとこから疑われていたのかと、軽くショックを受けるなまえ。もちろん、2人も本気では無いと思うが…いや、本気か?と口元が引き攣るのを止められない。

「あとはまぁ、低栄養状態と疲労、ストレス過多ってとこかな」

じっと見つめる視線に耐えきれず、明後日の方向に目を逸らす。
それはまぁ、そうだろうと。なまえは自分でも認めるしか無い。食べれていなかったし、疲れてもいた。ストレスなんて単語も浮かばないほど、ただ過ぎる毎日に一生懸命だった。


目を逸らしたなまえを、家入は複雑な気持ちで見ていた。あの頃の姿のままであるなまえは、今もまだ、あの頃を生きているのだ。家入にとっては、苦い思い出であるあの時は、今ではもう過去であるけれど。なまえはまだ、苦しいあの時を、まさに現在進行形で、生きている。

隣に座る以外に、できたことがあったんじゃないだろうか。

過去の後悔が、静かに頭をもたげた。

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