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大正鬼殺譚 〜炎柱の継子〜

第5章 変化





鴉は、杏寿郎の前にくると、

足に括られた手紙を差し出す。



杏寿郎は、
神妙な面持ちで手紙を受け取った。



そこには、

胡蝶と共に向かった先で
美玖が上弦の参と出会した。

という事が書かれて居た。


……っ!

十二鬼月の、
しかも上弦の参…?

鬼舞辻に限りなく近い存在だ。

柱ですら、
一対一で敵う相手ではない。


上弦ともなると、

強さが下弦の比ではないのだ。



…鴉より死亡連絡は来ていない…

胡蝶からも何も…


どういうわけか、
無事であったようだが…しかし…


その後、夜の任務を終えた杏寿郎は

真っ直ぐに蝶屋敷へと向かったのだった。



ー…


ー……


美玖が目を覚ましたようだ。

視線に気付き、
自身の目を開く。


美玖は驚いた様子で
こちらを伺っていた。


…しかし、
杏寿郎は、自身の心配事で頭がいっぱいである。


そして、何の説明もなく、
布団を剥ぎ取ったのだった。


上から下まで視線を動かし、確認する。


…怪我は、ないようだ。…一体何故…

まあ、無事ならそれで良い。


杏寿郎は安堵した。

状況が予測できたとしても、

やはり自身の目で見るまでは、
美玖の身に何かあったら…と
心配の念が拭えなかったのだ。


これが師範として兄的立場としてのものなのか、
一人の男としての感情なのか、

杏寿郎は、特に自身のこの感情には
目を向けようとはしないのであった。



し、師範!?…何を…


ここで漸く、美玖の声に気付く。



布団を剥いで無事を確認したところだが…

そう、ここで自身の取った行動にも
漸く気付いたのだ。


冷静になって、再度美玖を見下ろすと、

はだけた浴衣から、
ふんわりと膨らんだ胸元や、
白く、美しい太腿が覗いていた。


…っ…すまない!!


一際大きな声で謝罪を口にすると、

杏寿郎は美玖に布団を掛け直した。





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