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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第2章 比翼連理




「さて。じゃ睦ちゃん」

「はい」

「ちょっと来てくれるかい?」

にこっと笑ったおばちゃんが階段の上を指差す。

「…うん」

何だろう。
何か、お手伝いかな。

「宇髄さん、ちょっと行ってくるね」

「あぁ」

そうして私は、おばちゃんと2人、
2階へと向かった。











睦の言う『おじちゃん』と2人残される。
……俺は、なんて呼びゃいいんだろうか。
睦に名前聞いとくの忘れてた。

「1ついただいてもいいかい。宇髄さんもどうだ」

ご機嫌な様子でにこにこ話しかけてくる。
本当に好きなんだな。

「いえ、俺は結構です」

と遠慮すると

「んな淋しい事言うなよ。甘いのは嫌いかい」

仲間が欲しいのか、重ねて勧められたので

「…では1ついただきます」

昼飯で腹の膨れていた俺は三色団子を手に取った。
あんこよりはいくらかマシだ。
『おじちゃん』はきんつばを頬張って、

「うまっ!これはうまいな」

と終始にこにこ顔だ。
…睦はこの顔を見て、つらい過去を乗り越えて来たんだな。

「あの…」

「ん?」

もぐもぐと口を動かしながらこちらを向く。

「睦は本当に真っ直ぐで良い娘です。
俺はずっと前から睦に惚れていた。
…あいつの昔の話も聞きました。
こんなに素敵な娘になったのは、
間違いなくお2人のおかげです。
俺如きがこんな事言うのもおこがましいのですが、
本当に、ありがとうございます」

畳に両手をつくと、
『おじちゃん』はごくんと飲み込み、
お茶を一口飲んだ。

「そうか。昔の事を知っていたのか。
その上で睦ちゃんと…。ありがとう。
あの子はよく頑張ったよ。
俺たちが引き取った頃は目も当てられなかった。
たった6歳の女の子が、体中にひどい痣を作って。
愛想笑いのひとつも出来ず、口すらきかねえ。
…哀れでなあ」

懐かしむように笑う。

「頭を撫でてやろうとすると、
ごめんなさいって、頭を守って泣き叫ぶのよ。
ひでえ目にあったんだろうなぁ…」

それは…俺にも覚えがある…。

「でもここで暮らすうちになぁ、喋るようになり
笑うようになり、何より食った。
俺の作ったもんを、うまそうに食ってくれるのよ。
食うって事は生きるって事だ。嬉しかったよ」



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