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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第2章 比翼連理










優しく触れる、柔らかいものに起こされた。
まだ重たい瞼を上げると、仄暗い部屋が見えた。

あれ…?
まだ、お昼だったはず…。

横向きだった身体を、仰向けに転がした。

「…ぅず…さん…?」

掠れて、声がうまく出せない。
隣に、私の肩や腕、首…あちこちに唇で触れる宇髄さんを見つける。

「ん…何、してるの」

目が、ちゃんと開かない。

「…ん?…愛でてる」

…彼の声も掠れてる。

「…愛、で?」

宇髄さんは身体中への口づけを続ける。

「睦、おもしろいな。眠ってても、お前の感じる所がわかる」

「えっ」

「ココ、好きだろ」

そう言うと、私の首の付け根、肩へとつながる場所に、そっと唇を落とした。すると、身体がピクッと、勝手に動いてしまう。
私は急に恥ずかしくなって、宇髄さんを押しやる。

「なっ何遊んでるんですかっ」

「…遊んでねぇ。愛でてんだ」

心外そうな顔をされた。

「お前のイイとこ、全部わかったぞ」

耳に唇を寄せて囁く。
甘い声にくらりと眩暈がする。
目が合うと、ぞくりと背筋に痺れが走る。
何て、色気…。

「…っ」

声も出ない。
目もそらせない。

…あれ…?この、目…。
何だか、既視感がある。

目線を合わせながらも、
私の気が他に行っている事に気づいたのか、

「…何、見てやがる…?」

私を睨む。

「…いえ…何も…」

「お前今、俺じゃねぇもん見てただろ」

図星をつかれてドキッとする。
でも、私にやましい事なんて無い。

「何かを思い出しかけていただけです。
宇髄さんに責められるような事してません」

私は、宇髄さんの視線から逃れるように上半身を起こし、はだけたままの襦袢を直した。
それだけで、ひどい鈍痛が身体を襲う。

宇髄さんは私を追ってくる。
長い腕が私を絡め取り、後ろから頬に口づけてくる。

「悪ィ…」

素直に謝る彼に、

「まだ、不安、ですか?」

そう訊くと、宇髄さんは苦しそうに顔を歪めた。

「違う。不安なんかねぇ。そうじゃなくて…
…何を、思い出した?」

「え?いえ、思い出すというか…」

私は横にある宇髄さんの目を見ると、

「宇髄さんの目、どっかで見たかもって…」

さっき思った事を告げる。
すると宇髄さんは、泣きそうな笑みを浮かべて

「そうか」

とだけ言った。



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