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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第2章 比翼連理




「やめて下さいな、宇髄さん」

おばちゃんは困ったように笑ってみせた。

「あなたの前だと知らなかったとは言え、
こんな話しを持って来てごめんなさいね。
宇髄さんのような方がいらっしゃるのなら、
こちらではっきりとお断りを入れます」

「ありがとうございます」

頭を下げる宇髄さん。
私もそれにならう。

「宇髄さん、睦ちゃん、また今度
時間のある時で構わないから
おじちゃんにも会ってやって下さいな」

「あ…うん!」

ぼけっとしていた私はおばちゃんに返事をした。

「あの…」

宇髄さんが、おばちゃんを見る。

「生意気をお許しください」

と前置きしてから、

「睦を、素敵な女性に育てて下さって、ありがとうございました」

もう一度、頭を下げた。
私は、
宇髄さんをただ、見つめるしか
出来なかった。

…何を、言ったんだ、今。この人は。

「ふふ、何を言うのあなたは…」

くすりと笑うと、

「睦は、私たちの大事な大事な娘です。
どこへ出しても恥ずかしくない子ですよ?
でもそれは、私たちではなく、
睦自身の努力です。
私たちはただ、可愛がっただけ」

「おばちゃ…」

娘って、言ったの?私の事を。
私は、はらはらと泣いていた。
おばちゃんも、泣いていた…。

「ありがとう…っ」

私はそんな、ありきたりな言葉しか言えず、
おばちゃんの想いや言葉に、ただ涙を流した。
この頃、泣いてばかりだ。

「じゃお2人さん、お邪魔してごめんなさい。
必ず、2人で顔出してね」

そう言うと涙を拭いたおばちゃんは
にっこり笑って出て行った。

宇髄さんは立ち上がり、
まだ座っている私の頭をひと撫ですると
部屋へと行ってしまう。
私は涙を拭いながら、その背中を追いかけて、

「宇髄さん、まともに喋れるんですね」

と、随分失礼な事を言ってしまう。

「お前、俺を何だと思ってんだ」

私を横目で見ながら髪をほどき、
邪魔くさそうに着物も着崩していく。
まるで詐欺のような変わり様だ。

「あぁ、さっきの素敵だったのに…」

ついそんな一言を洩らしてしまうと、

「コレじゃダメなのかよ?」

つまらなそうに言い、私の髪を一房手に取った。





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