• テキストサイズ

【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第2章 比翼連理




慌てて否定した後、
ちょっと申し訳無さそうに告げた。

「あのね、この間…睦ちゃんが手伝いに来てくれた時に…」

「…うん」

「たまたま寄ってくれたお客さんがいてね。
初めて来てくれた方らしいんだけど…。
その人があんたの事、気に入ったって言うんだよ」

「…え?」

私は耳を疑った。でもおばちゃんは続ける。

「もう一度会わせてくれって、
今日店まで来てさ、
私らも最初は断ってたんだけど…
根負けしちゃってね…」

「えっと…それは…」

どういう事?

「睦ちゃんに惚れたらしいの」

「‼︎」

私は口をポカンと開けてしまう。
——いや!アホづらしている場合じゃない!

「おばちゃん、ごめんなさい。
そういう事なら、私は行けない」

はっきりと言い切った私に、おばちゃんは目を見開く。

「ごめんね。隠してたわけじゃないんだけど、
私、大切な人がいるの」

そこだけは誤解されちゃいけない所。
私にはもう、宇髄さん以外考えられないのだ。

「…あらあら」

驚いていたおばちゃんは、
頬を染めて嬉しそうな顔へとかわってゆく。

「そうなの睦ちゃん!
知らなかったとは言え、こんな話し、悪かったねえ。そう…そうなの…」

おばちゃんは何かを考えるようにしていた。
するとその時、
私の隣に誰かが立った。
私もおばちゃんも、その人を見上げる。

「宇髄さん…」

おばちゃんは、
私以外に人がいた事に驚いた様子だったが、
私の呼びかけを聞いて、
納得するように微笑んだ。

…あれ、着崩してた着物がしゃんとしてる。
下ろしてた髪も、いつも通り結い上げられていた。
宇髄さんはきれいな所作でそこに正座をし、床に手をついた。

「初めまして。宇髄天元と申します。お話し中に申し訳ありません。失礼ながら先程の話、耳に入ってしまいました。ですが、睦さんは私の命です。他の男に譲るわけには参りません」

私は慌てて、彼の少し後ろに正座をし、
同じように床に手をつく。
そんな私を一瞥し、宇髄さんは続ける。

「必要であれば私が直接出向いてその方とお話しをさせて頂きます」

いつもとまったく違った様子の宇髄さんに、
ただ驚いていた。…まともな人みたいだ。
…失礼かな。





/ 2219ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp