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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第2章 比翼連理




「俺が、着せてやろうか…?着物」

わざと耳元で囁くと、
睦はぶんぶんと首を横に振り
涙目になりながら、

「……泣きますよ?」

俺を睨む。
睨んだって可愛いけどな……という言葉を必死で飲み込み、泣かれちゃ参るので、そそくさと部屋を出て行くのであった。













宇髄さんが出ていき、静かになった部屋。
私はひとつ、息をつく。
こんな事になるとは思わなかった。
何で、宇髄さんは
あんなに普通にしていられるんだろう。
私は恥ずかしくて、照れくさくて、
普段通りになんてとてもしていられない。

でも、とても幸せだった。
昨夜も、今も。
私を、宇髄さんのものにしてもらえたような気持ちになった。

そんなあったかい気分に浸っていたが、
私はふと我にかえる。
いけない。
何か着なくちゃ。
部屋の中に視線を巡らす。
すると枕元、畳の上に、
きれいにたたまれた私の着物が置いてある。
…宇髄さん素敵すぎ。
さりげない心遣いに感謝して
私はそれに袖を通した。









昼ごはんも済ませ、
私は部屋の奥で洗濯物をたたんでいた。
今日はお休みだという宇髄さんは、
縁側の柱にもたれて外を眺めていた。
庭に生えていた猫じゃらしを手に持って、
くるくる回していた宇髄さんが、
ふいに私に声をかける。


「オイ睦、誰か来たぞ」

「え?誰だろう…」

たたみかけの手ぬぐいを置いて、
私は玄関へと向かう。

「ごめんくださいな」

それは私のよく知る声だった。
私は引き戸をガラリと開けて相手を確認する。
やっぱり。

「おばちゃん!どうしたの、こんな所まで」

もうすぐ夕方の準備をする時間なのに。

「ごめんね睦ちゃん。
お店に行ったんだけど、お休みだったんだね」

「あ、ごめんね。定休日なの」

そう言うと、途切れてしまう会話。

「…何か、あったの?」

こんなおばちゃんは珍しい。
いつでも、何でもにこにこハキハキな人なのに。

「うん…あのね睦ちゃん。
またうちの手伝いに来てもらうことは出来るかしら」

「え、うん。大丈夫だよ。いつでも行くよ。
…また、体調悪い?」

私は少し心配になる。
でもおばちゃんは大きく手を振って

「違う違う!私もおじちゃんも元気よ!大丈夫。
…そうじゃなくて」




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