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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第2章 比翼連理




「宇髄さんかっこいいのーっ!」

俺に聞こえなかったと思ったのか、
やけくそのように叫ぶ。
布団がしゃべってら。
俺はつい、笑いをもらす。

「何だよ急に。褒めてくれんのか?」

俺が訊くと、目の前の布団が大きく頷いた。
その頭と思われる所にポンポンと手をやり、

「ありがとよ」

と、素直に礼を言っといた。
こんだけ直球に褒めてもらえることなんて
なかなかない。
そうか、結構、嬉しいモンなんだな。
…と、思った俺は、
布団をめくり、睦の顔だけ出すと、さっきの余韻なのか、真っ赤に染まった頬を両手で包み、

「睦も可愛い」

直球で褒めてみた。
睦は目に見えてあたふたし始めて、

「違います。私の事はいいんですよ!」

両手で顔を覆ってしまう。
さっき間近で見た、こいつの寝顔。
本当にきれいで、それなりに化粧を施したり
着飾ったりすれば、そりゃあ美しくなるだろうに、
睦はそうしねぇ。
あんな仕事してんのに、
なぜか、他人を飾ることしか頭にねぇ。

…まぁ、俺がわかってりゃいいか。
そんな事して、妙な虫がついてもつまらねぇ。

「はいはい。お前はちゃんと、可愛いよ」

「可愛いとか言わないでください」

「何でだ。可愛いモンは可愛い」

「わーわー!やめて下さい!」

睦はこれみよがしに耳を塞ぐ。

「照れんな照れんな。ホントの事だ」

「よくそんな台詞言えますね」

「何で言えねえんだ。好きな女褒めて何か悪ィのか」

「すっ、好き⁉︎」

「あぁ。睦好きだ」

睦はどっかの糸でも切れたのか、
頭から湯気でも出そうな程赤面している。

「お前は俺の事好きじゃねぇの?」

「え⁉︎そりゃすっすっ好きです」

「だろ?」

「何言わすんですか!」

「何、って…。でもまぁ、言葉じゃない伝え方もあるけどな?」

俺が睦の目を覗き込むと、
最早、目を白黒させて、

「宇髄さん!顔でも洗って来て下さい!」

ばっと勢いよく起き上がり、洗面所の方を指差した。
巻きつけといた布団が、その勢いで緩み、
胸元は隠しているが、白い背中がチラリとのぞく。

今、俺の前でそんな色っぽいカッコするなんて、
よっぽど頭が回ってねぇな。

急に、俺を退室させたがる理由なんて1つ…




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