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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第52章 スルタンコラボ更に追加 〜睡蓮の願い〜














左手が痺れてきた。


なぜかって、
強く腕を掴まれているからだ。

骨が軋むほどの力…
知らぬ間に顔が歪む。

最初こそ我慢出来ていたがさすがに…

「天元…っ!いたい!」

そんな訴えも、まるで聞こえていないようだ。

歩みを緩める事なく
こちらを、チラリと見る事もなく
ものすごいスピードで進んでいく。

いつもなら市場の人たちと
にこやかに言葉を交わしながらゆっくり行くのに
今日はまるきり別人のようだ。


……私のせいだよね。
わかってはいるんだけど。


向かっている方向が、王宮とは真反対で
一体どこに向かっているのかもわからないまま
私はどんどん不安になっていく。

人影もまばらになり、
ついには木々だけになり…

「天元…ねぇ、」

背中から怒りが溢れている。
相変わらず、私への反応は無くて

自分がした事を少しずつ後悔し始めていた。

私なりに
あの2人をくっつける事に必死だったけれど
天元からしたら
私のただの勝手でしかなかったよね…

「天元…ごめんなさい…」

ひと言謝ると
自分でも驚きだが涙が零れてしまった。
もちろん、声からも伝わってしまい、
さすがの天元もこちらを振り返る。

その頃には、
端が見えないくらいにだだっ広い
林のような公園のような場所に辿り着いていた。

少しだけ緩んだ力は、一瞬後には復活し
私を大きな木の根元まで
ぐいぐいと引っ張っていく。

「ごめんなさい…」

太い幹に背を預け
両腕を大きく広げた天元が大きなため息をついた。

「……?」

抱きつけってこと?

…もし違ったらどうしよう。
怒られるかもしれない。

そんな事を考えると動く事も出来なくて
ただ彼を見上げるだけの私に
天元は徐々に眉をひそめていく。

その間も涙は止まらなかったが
悲しかったり怖かったりするわけではなく
一度流れ出してしまったことがきっかけになり
どうやら止まりが悪いようで…

「ほら」

ほら、って…


少し落ち着いた頭で考えてみたら
こんなポーズ、
ぎゅってしろって意味以外にあるはずもなく…


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