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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第9章 好敵手










1人、雪の降る庭で遊んでいた。
うちの敷地を仕切る生垣も雪化粧。
雪は周りの音を吸い込んで、シンと静まっている。

…好きで遊んでいるんじゃないの。
ここにいろって、お母さんが言ったから。
だから、雪だるまを作っているんだ。
小さくて可愛い雪だるまを3つ。
大きいのと、中くらいのと、小さいの。
お父さんと、お母さんと、私だよ。

手が冷たいなぁ。
指の先が真っ赤になった。
ほぅっと息をかけると、じんじんと痛む。

真っ白い景色の中、私1人だけ。
みんな、雪遊びしないのかな。

灰色の雲から、小さくて白いものが落ちてくる。
あぁ、また積もっちゃうのかなぁ…

3体の雪だるまの前にしゃがみ込んだまま
空を見上げていると、
ふいに後ろから
ふわりとあったかいものに包まれた。

硬くて大きな手が、私のかじかんだ手を握ってくれて
私は知らないうちに力の入っていた体が
緩んだのを感じた。

——あったかい。

「こんなとこで何やってんだァ?」

「見て、雪だるま作ったよ」

「あァ、上手だなァ。…お前手ェ冷てぇよ。
しかもこんな薄着で…」

「…うん」

「もう中入るぞ。また降ってきやがった」

「…おうち、埋もれちゃわない?」

「はは、それも楽しそうだなァ」

「楽しくないよ。怖いよ」

「睦は怖がりだなァ。
俺が守ってやるから大丈夫だ…」

にこっと笑うその人を見上げて……












目を開くと、広い胸に抱かれていた。
力強い腕が私に絡みついていてとってもあったかい。
このあったかさ…
さっき夢の中で感じたのと同じ…。

そうか、夢を見ていたんだ。
多分、昔の出来事。
私、わかったような気がする。

辺りはもう明るい。
すべての合点がいった私は、それを確かめたくなった。

…昨日、あんな別れ方をして、
多分気にしてくれていると思うんだ。
きっと、あの場所にいるような気がしているの。

でも、私を抱きしめるこの腕は
私にはどかせそうもなかった。
…重たい。
こんなに動かせないものかと思うほど
少しも動かす事ができない。
…抜け出したい。
できればこっそり。

…なんなのコレ。
起きてて、わざと力入れてるのかな。
こんな腕が乗っかってて、私よく眠れてたな。



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