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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第9章 好敵手




はっとこちらを向いた睦と目が合った。
泣き出しそうな、
困惑した睦の目を見るともうダメで…

両腕をつかんで、体ごとこちらを向かせると
拒むように目をそらされた。

「睦、お前アイツのこと好きなのか?」

堰を切ったように、溜め込んだ思いが口をつく。

「なぁ、こっち見ろよ。
お前、不死川のこと想ってるよな?」

同じように、俺の両腕をつかんで
睦は首を横に振る。

「じゃ何でそんな泣きそうなんだよ。
お前のアイツを見る目、絶対ぇ普通じゃねぇだろ」

「…違う…」

苦しそうに吐き出すが、
どう見たって様子がおかしい。
直接言わずとも、肯定しているようなモンだ。

「不死川が気になるか?
俺よりもアイツの事を好きになるのかよ?なぁ!」

「違うっ!」

睦はとうとう、
大きく開いた目から涙を落とした。

「違う!私は宇髄さんが…宇髄さんが好きだよ!」

俺に縋りついてポロポロと涙をこぼす。

「怖いよ…他の人なんか、好きになりたくない…」

睦のその言葉は、俺の胸を撃ち抜いた。
力いっぱい抱きしめて深く口づける。

「…んな事させねぇ」

逃がさねぇ。
逃がしてやらねぇ。
頼むから。

「宇髄さ…たすけて…」

睦が俺を想っているのはわかった。
でも、同時に揺らいでいる事も、
苦しいくらいにわかってしまった。

「俺だけ、感じてろ」

睦をそのまま押し倒し、着物を乱す。
その間も睦は俺の頬を両手でつかまえ
しきりに唇を合わせてくる。
いつもと全く違う、
俺の手にすべてを委ねる事はせず、
焦ってその先を求めてくる睦。

顔の両脇に肘をつき、顔を引く。

「…睦…?」

正面から見据えると、俺の頬に手を当てたまま
くしゃっと顔を歪ませ更に泣いた。

「泣くなよ。睦、俺が、好きか?」

畳に広がった髪を纏めるように梳いてやると
大きく息を吸い込み、うん、と頷いた。

「ムリ、してねぇな?」

「…してない」

「なら、ちょっと落ち着け。
ちゃんと、愛してやるから」

頬を擦り合わせると、
睦は首にしがみついてくる。


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