• テキストサイズ

【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第9章 好敵手






翌朝、2人の休みが合ったので
手を繋ぎのんびり商店街を歩いていた。
つい今しがた、弁当屋に寄って、
甘味をいくつか置いてきた所だ。
久しぶりだったので、
元気な睦の姿を見せに行こうと
俺が誘ったのだ。
睦はいつも通り、元気に振る舞っていた。

「睦、疲れてねぇか?」

「え?」

「体調、少しは良くなったかよ」

「あ、はい…だいぶ良いです…。ごめんなさい…」

「何で謝るんだよ」

俺は笑って見せるが、内心それどころではなかった。
——謝るのは体調の悪いのが、ウソだったからか?
俺に抱かれない為の?

「何で、でしょう…」

前を向いたままぽつりと言った睦は
緩くつないでいた手を、するりと離した。

そして、
隣に俺がいた事をまるで忘れてしまったかのように
正面を見据えたまま、1歩前に出た。
そして次の瞬間、にこぉっと嬉しそうに笑ったのだ。

怖かった。
睦の視線の先にいる誰かを見るのが怖かった。
きっと、睦の心に入り込んだ相手に違いねぇ。
なのに
睦のヤツ、俺の気も知らねぇで

「不死川さん!」

なんてそいつの名を呼びやがる。

——何だって⁉︎
怖ぇなんて思ってる場合か、俺は即そちらを見遣る。
そんな名、他にあり得ねぇ。
確かに俺のよく知る不死川。
睦は不死川に走り寄ると
嬉しそうに何やら話し出す。

にこにこと見上げる睦の笑顔も、
無意識なのかヤツの袖を握る手も、
悪い夢でも見ているような気になって…。

何より驚いたのが、あの不死川が
睦を前に笑ったことだ。
あいつのあんな顔、見た事がなかった。

俺は打ちのめされていた。
全てを奪われたような気がしていた。
幸せな気持ちが、崩れ去っていくような…。

さっきまでは半信半疑でいたが、
決定打を、見せつけられた。

絶望の淵に立たされていた俺を、
にこやかに睦が振り返る。
そして、俺の顔を見た途端、
驚いたような顔に変わった。
不死川も俺に気づき、いつもの鋭い表情に戻る。



/ 2219ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp