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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第9章 好敵手







まきをの言う通り、確かに様子が違う。
脳内お花畑状態だ。
普段からその気はある睦だが、
さっき、店に1人でいた時の様子。
まきをが言った初恋、
という表現は的を得ていたと思う。

内側から幸せが湧き上がってくるというか…
あの上気した頬が俺のためでない事は
一目瞭然だった。
…まずい…。
今の感じからして、まだ自覚していない。
あいつが気づく前に阻止したい。

俺以外に目を向けられたらどうしたらいい…?

やばい。気が遠くなる。
睦が、俺以外を…?
こんなにそばにいたのに…。

往来の中、いつしか歩が進まなくなった俺は
その場にただ立ち尽くしてしまった。











店に1人残されて、私はある事に気づいていた。
なぜ、宇髄さんがここに来たのか、という事だ。
いつもならしないような行動。
アレは、気付かれたのではないだろうか。
私の、この浮ついた心に。

そう考えついた瞬間、ズキンと胸が痛んだ。
…どうしよう。
きっと、そうだ。
必要以上に近づいて来なかった。
私の心を試すような発言。
何事にも敏感な宇髄さんの事だ。
きっと、わかってしまったんだ…。

だけど、浮ついたと言っても、
家族が増えた程度だ。
恋ではない。…

…私は宇髄さんが好きよね?
不死川さんは、お兄さん、だよね?

でも、あの笑った顔を思い出すとどきっとする。
…いや、そんなのきっと、勘違いだよ。
宇髄さんじゃない男の人と、
初めてしっかりお話ししたから
勘違いしてるんだよ。

私は一生懸命、そう自分に言い聞かせていた。



歯車が狂い出したような気持ちを抱えて2日。
私はその間、不死川さんとは会えずにいた。
だいたいどこの誰かも知らない。
蜜璃ちゃんの知り合いというだけの人だ。
約束をして別れたわけでもない。
会いたいと、進んで言うわけにもいかない。
——会うのが何となく、怖かった。
次に会ったら、嬉しさ全力になってしまうと思う。

宇髄さんとは昨夜会った。
いつものように、店から戻るとうちにいて、
いつもと変わらず、優しく笑ってくれた。
だけどどうしても、抱かれる気にはなれなくて、
体調が優れないと、断ってしまった。
思い切り心配してくれた宇髄さんは、
広い胸に私を抱きしめて眠ってくれた。
涙が出るほど、安心した。




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