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苦しみの [   ]

第2章 ep.01 憎むべき存在




【ノム side】



何で俺が吸血鬼の手伝いなんかしなきゃなんねぇんだよ…。
別に貧しい人に配給すんのが嫌なんじゃなくて、あいつと何かをしてる事が嫌だった


けど…



フリント
『あいつ…満里奈はな、行く村行く村でガキに花を飾るように言ってたんだ』

ノム
『は?何でそんな事…』

フリント
『自分を受け入れてくれた人達を襲わねーようにだ』

ノム
『………っ』

フリント
『そういう努力してる奴を知ろうともしてねー奴が、全部一纏めにして知ったような口聞くんじゃねぇ。腹が立つ』




思い出すのは昨日のフリントとの会話。
確かにオレは吸血鬼は全て一括りにして、個は見ようともしなかった
つーか、そんな必要ねぇと思ってたからだ


鍋のスープを注ぎ笑うあの吸血鬼は、今ヴィンスが作った薬をさしてんのか瞳の色は紫だ。
知らない奴が見たら何の害もない、一人の人間


ヴィンスやフリントと一緒に子供や大人にスープを配り続けていると、吸血鬼がフリントに鍋を任せてスープの入った器を持って少し離れた所に向かう


何してんだ?あいつ。
…ん?爺さん?



リディア
「お爺さん、これ食べて」

お爺さん
「え?いや、でも…お前さんのじゃろ」

リディア
「良いの。それに私もう、お腹いっぱいだから…食べてくれるとありがたいんだけどな」


はぁ?腹いっぱいって…あいつ食ってねぇだろ


お爺さん
「そうかい…?」

リディア
「うん。もらってくれる?」

お爺さん
「…っ…ありがとう、ありがとう…お嬢さん」


器を受け取った爺さんは泣きながら何度も奴にお礼を言っている


リディア
「お礼なんて…だって、食べれなくなったものをもらってくれるんだから。私の方こそありがとだよ」


爺さんと会話を終えた奴が戻ってくると、オレは迷ったが気になったから奴に聞いてみる事にした



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