第2章 ep.01 憎むべき存在
木箱に入っていた水色の小瓶を見せてヴィンスは首を傾げる
リディア
「そう、それ。…それを目にさすと瞳の色が変わるから助かってる」
ヴィンス
「驚いたな。これ、俺が作った薬だよ」
リディア
「え、そうなの?」
その事実には三人が同じ様に目を丸くした。
リディアは背筋を正すと座ったままヴィンスに頭を下げた
リディア
「ありがと。その薬のお陰で昔よりも親しくなった人達と長く居れる事が出来たの…こんなの作れるなんて凄いね」
昔よりも親しくなった人達と長く居れる事が…その言葉を聞くとヴィンスは、彼女はずっと苦しんできたんだと理解し胸の辺りが一瞬だけ痛くなった。
だが、それを表情には出さずに笑みを向け
ヴィンス
「…ありがとう。人に紛れるには吸血鬼の目は厄介だからね。それが理由で此処に来る吸血鬼は多いよ」
リディア
「そうなんだ。…吸血衝動を抑える薬を欲しがる吸血鬼もいる、の?」
少し不安気に見詰めてくるリディアにヴィンスはしっかりと頷いて見せた
ヴィンス
「いるよ。吸血衝動を抑えない事には人に紛れる事は出来ないし築いてきたものが壊れてしまうからね」
リディア
「そっか…」
フリント
「その衝動を抑えるとかゆう薬はどれくらい効くんだ?」
ヴィンス
「んー…そうだな。長くて一週間。ただ、君は分からない」
緑の瞳に見詰められると不思議そうにリディアは首を傾げる
ヴィンス
「さっきも言ったけど君は他の吸血鬼とは違う。俺の予想では何か特別だ…だから、君がどれだけの時間効くか分からない」
フリント
「成る程ねぇ…んなら、あれか?衝動が来そうになったら飲みゃ良いのか?」
ヴィンス
「衝動が来そうな感覚が俺には分からないからな…」
二人に視線を向けられるとリディアは、えっと…と話始めた
リディア
「心臓が脈打つスピードが普段より速くなって…こう、身体の内側を何かが走ってるような…熱くなるような感覚…かな」
衝動がどんな感じか、なんて聞かれた事がないリディアは悩みながらも言語化する。
ただ、ちゃんと伝わったかは不安で二人の顔を交互に見ている
ヴィンス
「へぇ…そんな感じなのか。…じゃあ、それが来たらこの薬。渡しておくから飲んで」