第2章 ep.01 憎むべき存在
ヴィンス
「成る程。直接の方が栄養価が高いからか。…じゃあ、君が家を空ける時はどうしてるの?」
リディア
「小瓶に血を入れて置いていってくれる」
ヴィンス
「どれくらいの大きさ?」
フリント
「これくらいだ」
フリントは腰に下げた小さい鞄に入っていた15㎝程の細長い瓶をヴィンスへ見せると彼は成る程と呟いた
ヴィンス
「その小瓶は何本、置いていく?」
フリント
「大体、四本だな」
ヴィンス
「その本数で二週間、足りるのか?」
リディア
「うん、基本的には。でも、それよりもフリントの仕事が長引くと衝動がくる」
ヴィンス
「そうか…君はその量と本数で二週間は堪えられるのか。他の吸血鬼だったらもっと早く衝動がきてるよ」
興味深そうに質問をしながらも、しっかりと聞いた事をヴィンスは紙へ残していく。
ヴィンス
「リディアは外にいる時フードを被っているよね。日の光は大丈夫なのかい?」
リディア
「うん。長時間当たっても灰にはならない…けど、日の光は苦手。だから、フードを被ってるの」
ヴィンス
「そうか。なら、此処に来る前に香水の匂いが強いからって嫌がっていたよね。それは何故?」
リディア
「花とか香水の匂いは吸血鬼が苦手な香りなの。私は微量なら平気だけど出来れば嗅ぎたくない…吐きそうになるから」
ヴィンス
「へぇ…それは知らなかったな。此処には沢山の吸血鬼が来るけど誰もそんな事、言ってなかった」
フリント
「ったりまえだろ。何でわざわざ弱点を教えなきゃなんねーんだ」
ヴィンス
「確かにそうだ」
フリントの言葉にヴィンスは、けらっと笑ってまたペンを走らせる。
そしてまた顔を上げるとリディアに視線を向け
ヴィンス
「ところで、その目はどうしてたの?ずっとフードを被っているのは怪しまれるから、きっと被ってなかったよね。…赤い目でバレなかったのか?」
リディア
「フリントと出会う前はすぐにバレてた…けど、フリントが吸血鬼から盗ってきた瞳の色を変える薬を貰ってからはバレなくなった」
ヴィンス
「瞳の色を変える薬?…それってもしかして、これの事?」