第2章 ep.01 憎むべき存在
──拠点内
あれから歩くとヴィンスの言った通り街から少し離れている、人通りが少ない場所の地下に彼等の拠点はあった。
リディア
「…………」
机を挟んで座っている三人の…ノムからの鋭い視線にリディアは申し訳なさそうにしている。
リディア
(彼は吸血鬼が嫌いなんだ…って、当たり前か)
ヴィンス
「ノム、これから一緒に暮らすんだからそんな視線を向けるな」
ノム
「………ちっ」
舌打ちをして視線を逸らすノムを見てからヴィンスは二人を見て
ヴィンス
「すまないね、彼も色々あるんだ。…で、だ。彼等の紹介の前にリディア…君にお願いがある」
リディア
「お願い?」
ヴィンス
「俺が研究者なのは言ったよね」
外套を羽織っていないリディアは頷いて赤い瞳をヴィンスへ向ける
ヴィンス
「それで、君を調べさせてほしい」
リディア
「え?」
フリント
「は?」
ヴィンス
「調べるったって、お腹開いてーとかじゃないよ?君は見た感じ他の吸血鬼とは違う。だから、吸血衝動を抑える薬の効き目とかを知りたいんだ」
リディア
「それは構わないけど…どうして吸血衝動を抑える薬を、貴方は作ってるの?」
ヴィンス
「昔、衝動に苦しんでる吸血鬼を見てね。他にも苦しんでる吸血鬼がいるなら助けたいと思って」
詳しい部分はヴィンスは濁したが、今はこの部分だけ知っておいてもらえば嘘ではないから問題ないだろうと理由を簡単に告げた
リディア
「そう…私で良ければ」
ヴィンス
「ありがとう。…じゃあ、後で俺の研究部屋に案内するよ」
フリントは口を挟まなかった。
ヴィンス
「さて。改めて紹介と行こう…ほら、ミフウ」
ミフウ
「ミフウ・ハバンド」
ヴィンス
「歳と職業も」
ミフウ
「はぁ?…26歳、医者…宜しくね」
ヴィンスの言葉に少し細い眠た気な茶色い目を向けてから、前髪と後ろ髪が顎で揃い外側が黒で内側が黄色い髪を触りながら答えた
ヴィンス
「彼女は闇医者だけど腕は確かだよ。…此処へは吸血鬼も正規の医者に診てもらえない人達も頼ってくる」
彼女は凄い人なんだな、とリディアはミフウを見た。
すると、急にミフウは小さく笑って