第4章 鍛錬と最終選別
それを理解している更紗は頷く。
「はい!お世話をお掛けしますが、よろしくお願いします!」
「うむ!必ず守ってやるから安心しろ、では行くぞ!」
そうして杏寿郎は更紗を毎度の如く横抱きにして走り出す。
その頃、鎹鴉は飛ぶ事を拒否しているかのように、抱えられている更紗の腕の中で風に羽を靡かせて寛いでいた。
「君も更紗が気に入ったのか?」
「ウム!ドリョクヲオコタラヌショウジョハコノマシイ!」
「そう思うなら更紗を見習って飛ぶといい!」
「ソレトコレトハハナシハベツダ!」
一方は片言で違う声だが、同じ口調なので1人で掛け合いをしているように聞こえ、更紗は思わず吹き出した。
「フフッ!……す、すみません!あまりにもお2人の息がピッタリでつい……」
つい叱責されると思いキュッと身を縮めるが、返ってきたのは笑い声だった。
「アハハッ!!むしろ肩の力が抜けるのなら更紗にとっていい事だ!!だが、これから速度をあげる!舌を噛まぬよう、話さないことを勧める!」
頷く間もなく速度がグン上がり、そこからは誰も話さず現場へと急いだ。