第4章 鍛錬と最終選別
たどり着いた場所は人里離れたそこそこの大きさの廃墟の近く。
以前はここで人を風雨から守る家として機能していたであろうそれは、今では忘れ去られたかのようにひっそりと不気味に佇んでいた。
「君はここで見張っていてくれ。なにか新たな動きがあればすぐに知らせろ」
「ウム!マカセロ!」
鎹鴉は更紗の腕から飛び立ち、近くの木の枝へと移り辺りを見回している。
「更紗は稀血ゆえここに置いていけない。絶対俺のそばを離れるな。万が一に備え、常に刀に手を当てておけ。何かあればすぐに抜刀出来る体勢を整えておくんだ。握り方、振り方は木刀と同じだからな」
今まで抜刀をしたことはないが、杏寿郎に打ち合いをしてもらっていたので更紗はその動きを脳裏で反芻する。
「はい!分かりました!」
「よし!入るぞ!」
玄関と思われる穴から中に入ると、奥から何かを投げてはぶつかり、物が壊れる音が鳴り響いた。
「間に合わなかったか?!着いてこい、走るぞ!」
「はい!」
そこまで長くない廊下を走り、物音がいまだに続く部屋の近くに来ると、悲鳴が聞こえた。
「いやぁーー!来ないで!!お母さん、助けてーー!!」