第4章 鍛錬と最終選別
更紗は杏寿郎の胸へ身を委ねたまま、顔を両手で覆い隠して頷いた。
「煉獄さん、更紗ちゃん。今日は来ていただきましたが検査もお話しもやめておきましょう。精神が不安定な時に新しい事を始めるのは危険だと思いますので」
そう言ってしのぶは更紗の頭を撫でてやる。
「すみません、もう少し言い方を考えてあげればよかったですね」
悲しげなしのぶの声に更紗は手を顔から外し、小さな声で返す。
「胡蝶様は……何も悪くありません。私もはっきりと言ってもらえた方が……よかったと思っています」
「そうですか……私も出来る限り文献を集めたりして協力しますので、良い方向に向かえるようにしましょう」
更紗が頷いたのを確認して、しのぶは杏寿郎へ向き直る。
「私は部屋を出ますので、落ち着くまでここにいて下さい。泊まっても良いですし、帰られるならば一声いただけると助かります。よろしくお願いしますね、煉獄さん」
見たことのないしのぶの苦しそうな表情に心の中で驚きつつ首を上下にふる。
「感謝する。またどうするか決まれば報告させてもらう」
その言葉を聞くとしのぶは静かに部屋を出て行った。